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重金属

HACCP手法に関する用語説明

重金属

見出し語
重金属
見出し語読み
ジュウキンゾク
同義語・略語

食品を介して危害を招く恐れのある環境汚染物質のひとつであり、種類としてはカドミウム、水銀、鉛等が該当する。

カドミウム(Cd)は、様々な工業分野で利用される金属で、主には、めっき、合金、顔料、電池、ガラスや陶磁器などの着色剤として使用されている。亜鉛や鉛の精錬時の副産物でもあり、氷や土壌などの環境汚染が食品汚染の原因となる。日本人の日常食からのCd摂取量は1日約30μgで、この約半分は米から摂取されている。Cdの食品における基準は米と清涼飲料水に対して設定されている。健康への影響としては、大量に経口摂取した場合の急性毒性においては消化器が標的となり、嘔吐・腹痛等が起こる。少量を長期間に渡り摂取した場合の慢性毒性においては、腎臓に障害が現れ、近位尿細管機能障害を引き起こす。また、骨障害も引き起こし骨粗鬆症と骨軟化症を引き起こす。現在、日本では、”大気汚染防止法”、”水質汚濁防止法”によってカドミウムの排出を規制している。

水銀(Hg)は、地殻からの放出と水銀を利用する工場が主要な汚染源となる。水銀はこれらの汚染源より土壌や水に堆積して食物に取り込まれる。日本では、食品からのHg摂取量の約80%は魚介類由来である。
無機水銀の食品を介しての人への吸収は低いが有機水銀は高い。無機水銀は急性毒性が強いが、有機水銀は亜急性および慢性毒性が強い。特にメチル水銀は高く、慢性的影響としてメチル水銀中毒による中枢神経系への影響があり、意識障害や四肢の不随意運動を引き起こす。

鉛(Pb)は、地殻から放出されるものも多いが、工業製品や染料等幅広く使用されていおり、食品を介しての人への吸収に含鉛塗料の埃の吸入や化粧品等も鉛摂取の原因となる。慢性的影響として鉛によるヘム合成系阻害による貧血が生じる。また、神経系への毒性として鉛脳症や末梢神経障害を引き起こす。

ヒ素(As)は、自然界に広く存在しており、ヒ素化合物は医薬品や農薬としても使用されていたがその毒性のために現在使用されていない。化学形態によって毒性は大きく異なる。亜ヒ酸(As2O3)の急性毒性は極めて強いが食品の中では比較的含量の高いとされている海産物に含まれるヒ素は有機ヒ素化合物で毒性は低いのでほとんど問題とならない。

これらの重金属に関しては、HACCP手法においては、偶発的に入り込む化学的危害原因物質としてHAを行う必要がある。

参照

  1. 食品の安全性評価と確認 著者諏訪薗靖/能川浩二 発行2003年 (株)サイエンスフォーラム pp 129~136
  2. HACCP:衛生管理経計画の作戦と実践 データ編 pp 232~237
  3. 食品衛生学 一色賢司編 発行2003年 (株)東京科学同人 pp 95~97
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