HACCP手法に関する用語説明
腐敗微生物
- 見出し語
- 腐敗微生物
- 見出し語読み
- フハイビセイブツ
- 同義語・略語
- 腐敗細菌、腐敗変敗細菌
食品の成分が微生物によって分解され、その過程で有害物質や不快臭のある物質などが生産され、食用として耐えられなくなる現象を腐敗と呼び、それに関与する微生物を腐敗微生物;特に細菌の場合を腐敗細菌と呼んでいる。食品には種々の細菌が存在するが、これらの細菌がすべての食品の腐敗に関与するとは限らない。食品のおかれた環境や食品成分の違いにより腐敗細菌の種類も異なってくる。食品の温度、酵素量、pH、水分、栄養成分等の増殖に適した細菌が優先増殖し、一方、条件に合わない細菌は劣勢化する。
しかし、優勢的な食品成分を分解して刻々と環境を変えていくので、自ら不利な環境をつくり出し死滅していくようになる。一方、劣勢であった細菌たちの中で、新しい環境に適したものは増殖し、逆に優勢化する。
このようなミクロフローラ(微生物群相)の変化と共に食品成分も刻々と変化し、腐敗が進行する。
主な腐敗細菌は、魚介類ではシュウドモナス、マイクロコッカス、ビブリオ、フラボバクテリウム、畜肉類では、シュウドモナス、アクロモバクター、マイクロコッカス、フラボバクテリウム、米飯及びめん類では、主にバチルス属の細菌である。
微生物において産生される物質のうち不快臭のある物質としては、アンモニア・硫化水素・メルカプタン・インドール・トリメチルアミン・酪酸等がある。有害物質としては、ヒスタミン・乳酸・ガス・ネト等がある。他に微生物から産生される色素や産生する物質が食品成分と反応することによる食品の着色がある。
食品の腐敗・変敗を防ぐためには腐敗微生物を制御する必要がある。
参照
- 食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp 55
- 有害微生物管理技術第Ⅰ巻 原料・製造・流通環境における要素技術とHACCP 著者伊藤武/奥田舜治/渡辺治雄/江崎孝之/李女那/田中芳一/土戸哲明/高橋寛紀 発行2000 (株)フジ・テクノシステム pp 74~137
- 食品微生物Ⅱ 制御編 食品の保全と微生物 著者藤井建夫 発行2001 (株)幸書房 pp3~8
- HACCP:衛生管理計画の作成と実践 データ編 監修厚生省生活衛生局衛生課 編集動物性食品のHACCP研究班 発行1997 (株)中央法規 pp 103 ~ 115
- 食品微生物学ハンドブック 著者好井久雄/金子安之 発行1995 技報堂出版 pp 121~160