HACCP手法に関する用語説明
食塩
- 見出し語
- 食塩
- 見出し語読み
- ショクエン
- 同義語・略語
- —
食品の微生物の増殖制御要因の1つであり、存在濃度をコントロールすることにより微生物制御を行うことができる。
食塩の微生物生育抑制効果は主に浸透圧の増大・水分活性低下作用にある。
食品の水分含量と水分活性は比例関係にあるわけではなく、糖質や食塩濃度によって水分活性は変わる。食塩濃度が高いと水分活性は下がり、微生物の利用できる水の量が少なくなる。ただし、水分活性が低下してくるとカビ・酵母等が生殖し、単一のミクロフローラを形成する場合がある。
その他の食塩の微生物生育抑制効果には、Cl-イオンによる防腐効果、溶存酸素を減少させることにより好気性菌の生育を押さえる、微生物細胞のCO2に対する感受性を高める、プロテアーゼを阻害する作用する等がある。
細菌は、食塩に対する挙動から、非好塩細菌、耐塩細菌、好塩細菌に分類できる。非好塩細菌は通常、食塩の非存在下で生育するものをいい、ボツリヌス菌やウエルシュ菌等がある。耐塩細菌は、食塩の非存在下で最もよく生育できるが相当高濃度(7~10%)でも生育できる細菌をいい、黄色ブドウ球菌等が該当する。好塩細菌は食塩の存在下でないと生育できない細菌をいい、腸炎ビブリオが該当する。
参照
- HACCP これからの食品工場の自主衛生管理 著者金子精一 発行1992 中央法規出版(株) pp 90~93 175~177
- 食品微生物Ⅱ 制御編 食品の保全と微生物 著者藤井建夫 発行2001 (株)幸書房 pp 9~13
- 有害微生物管理技術第Ⅰ巻 原料・製造・流通環境における要素技術とHACCP 著者松田敏雄 発行2000 (株)フジ・テクノシステム pp 209~214
- 食品微生物学ハンドブック 著者好井久雄 発行1995 技報堂出版 pp 92~95