HACCP手法に関する用語説明
pH
- 見出し語
- pH
- 見出し語読み
- ペーハ、ピーエイチ
- 同義語・略語
- 水素イオン濃度
微生物の増殖および代謝は、他の条件が一定であってもpHによって大きく左右される。
増殖および代謝の最適pHは、微生物の種類によって異なり、また生産される代謝物質の種類や量は、ともにpHによって影響される。また芽胞の発芽や形成もpHにより左右される場合がある。大部分の細菌は増殖の最適pHを6.0~7.5の中性付近に持つ。例外として硫黄細菌や酢酸菌の中には、pH4以下においても増殖できるものや尿素分解細菌の中でpH8.0以下で増殖できないものが知られている。カビや酵母では、そんほとんどが酸性側(pHを4.0~6.0)においてよく増殖する。病原性の細菌種の多くは中性付近でよく増殖し、最適pHは7.0~7.5の中性ないし微アルカリ側にあるが、結核菌などのようにやや酸性側(pH6.8)を好むもの、コレラ菌のようにアルカリ側(pHを8.0付近)を好むものもある。pHは、微生物の増殖制御要因の1つであり、食品のpHをコントロールすることにより微生物制御を行うことが可能である。実際、酢漬けは食品のpHを酸性に下げることにより有害微生物の増殖制御を行い保存性を高めている代表例である。
参照
- HACCP これからの食品工場の自主衛生管理 著者春田三佐夫 発行1992 中央法規出版(株) pp 133~134
- 有害微生物管理技術第Ⅰ巻 原料・製造・流通環境における要素技術とHACCP 著者松田敏生 発行2000 (株)フジ・テクノシステム pp 209~214 662~665
- 食品微生物学ハンドブック 著者好井久雄 発行1995 技報堂出版 pp 81~84
- 食品微生物学 木村光・河合章共編 発行1980年 培風館(株) pp 171~172
- 微生物学-病原微生物の基礎- 柳原保武・多村憲共編 発行2001年 南江堂(株) pp 27