HACCP手法に関する用語説明
食中毒細菌
- 見出し語
- 食中毒細菌
- 見出し語読み
- ショクチュウドクサイキン
- 同義語・略語
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食品とともに摂取したのち腸管内でさらに増殖して臨床症状を起こす感染型食中毒細菌(サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原大腸菌など)と食品中での増殖により産生された毒素を食品とともに摂取することで臨床状態を示す毒素型食中毒細菌(黄色ブドウ球菌、ボツリヌスなど)に大別される。
一般にほとんどの食中毒細菌は、25℃~37℃の中温域に至的発育温度を持つ。また、通常0℃近傍の低温域では増殖が停止し、65℃以上の加熱で容易に死滅する。ただし、リステリア・モノサイトゲネスやエルシニア・エンテロコリチカは0℃付近でも増殖可能なものがある。
また、ボツリヌス菌の産生する毒素は調理加熱処理をおこなうことで失活させることが可能だが、黄色ブドウ球菌とセレウス菌がそれぞれ産生する毒素(エンテロトキシン・嘔吐毒)は失活しにくく、除去することは難しいため、産生させないことが重要である。
芽胞形成菌は、芽胞のまま摂取した場合は有害でないものが、加熱殺菌後生き残り増殖することで危害要因となる場合があるため、芽胞菌による危害が想定される場合は、加熱や冷却等の工程を厳しく定める必要がある。
食中毒細菌の耐熱性は、加熱前に受けた熱や酸によるストレスや、食品成分やpH等の科学的条件によって影響される場合があるため、加熱殺菌条件を設定する場合はこれらの要因を考慮する必要がある。
増殖に適したpHは、pH7付近が最も多く、pH4付近では大部分の食中毒細菌が増殖することはないが、死滅せずに生存する場合がある。
水分活性(Aw)は、 0.95以下では大部分の食中毒細菌のが増殖することはないが、死滅せずに生存する場合がある。
参照
- 食品の安全を創るHACCP 発行2003年 (社)日本食品衛生協会 pp 48~55
- 有害微生物管理技術第Ⅰ巻 原料・製造・流通環境における要素技術とHACCP 著者伊藤武/奥田舜治/渡辺治雄/江崎孝之/李女那/田中芳一/土戸哲明/高橋寛紀 発行2000 (株)フジ・テクノシステム pp 74~137
- 食品衛生学 一色賢司編 発行2003年 東京科学同人(株) pp 45~72