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GFSI

認証の種類

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1.GFSIの活動

世界食品安全イニシアチブ(Global Food Safety Initiative:以下、「GFSI」)はThe Consumer Goods Forum(以下、「TCGF」)傘下の食品安全の推進母体である。TCGFは世界的な食品の流通、製造のネットワークであり、「知識とベストプラクティスの共有」をベースに4つの取り組み課題「サスナビリティ」、「製品安全」、「ヘルス&ウェルネス」、「エンドツーエンドのバリューチェーンと標準化」を柱に活動を展開している。GFSIはTCGFの「セーフティ&ヘルス」の一環として取り組みが行われている。

GFSIの発足は2000年である。小売業、製造業、食品サービス業、認定・認証機関、食品の安全に関する国際機関が参加し、以下の活動を行っている。

  1. 食品の安全性に関するリスクを軽減するために、従来の食品安全マネジメント・スキーム間の収束と等価性を図ること
  2. 業務の重複を軽減し、効率化することで、食品システム全体のコスト効率を高めること
  3. 一貫した食品システムを築くため、食品安全の遂行能力を高めること
  4. ステークホールダーに対して、コラボレーション、知識共有とネットワーク作りができるような国際的な場を提供すること

GFSIでは、これらの活動の実施の場として、世界食品安全会議において最新の活動報告を行うとともに、毎年様々な地域でイベントを開催している。

GFSIの活動のうち、製造・流通分野に特に大きな影響を与えつつあるのが食品安全に関するスキーム注1)の受け入れである。これは、GFSIに参加している流通業のうち特に影響力のある欧米8社の小売企業(Carrefour、Tesco、Metro、Migros、Ahold、Wal-Mart、Delhaize及びICA)が、GFSIによりベンチマーキング注2)された食品安全に関するスキームについて、一旦認証されたものは、どこでも受け入れられる、との考え方に沿い、いずれかのスキームによる認証を取得していれば、8社が共通的に受け入れることにより、製造業者側の認証の重複によるコスト増大を避けようとするものである。

GFSIでは,評価の手順や基準を示したガイダンス・ドキュメント(GFSI Guidance Document:以下「ガイダンス」)を公表し、スキームの評価を行っている。2011年1月に公表された指針第6版には、次に示す4部から構成されている。なお、ガイダンスについては順次重要な要素(key element)が追加され、2011年8月に第6.1版、2012年6月に第6.2版、2013年10月に第6.3版が公表されている。ガイダンス第6版の構成は以下のとおりである。

  • 第1部 ベンチマーキング手順
  • 第2部 スキーム管理のための要求事項
  • 第3部 スキームの適用範囲及び重要な要素(key elements)
  • 第4部 用語集

第1部は、GFSIがスキームをベンチマーキングするための手順を示している。マネジメントシステム審査に関連するISO/IEC 17021「適合性評価-マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項」,ISO/IEC 17011「適合性評価-適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般要求事項」やISO/TS 22003「食品安全マネジメントシステム-食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項」等が義務的な引用規格として示されている。

第2部は、対象となるスキームがその所有者によってどのように管理されなければならないかについて記述しており、食品安全スキームがGFSIにベンチマーキングされるための適格性,食品安全スキームの所有及び管理並びにGFSIによる継続的な認定のための要求事項を示している。

第3部は、食品安全スキームをベンチマーキングするための要求事項を示しており、食品企業や流通業にとっては最も関連の深い部分である。ガイダンス第6版では図1に示す分野の内,A(畜産物,水産物の生産),B(植物,穀類・豆類の生産),D(植物性食品,ナッツ類、穀類の前処理)、E(要冷蔵生鮮食品の処理)及びL(化学物質,生化学物質の製造)についてマネジメント、生産行程管理(GAP及びGMP),HACCPに関する要求事項が示されている。GFSIではこれらの要求事項について順次拡充を図ることとしており、2016年2月に指針第7版が公表される予定である。

注1)「スキーム」:辞書の訳語では「組織、機構体系」といった用語があてはまる。認定・認証のシステムの他、要員の管理まで含む、認証を適切に行うためのシステム全体を指す用語。ガイダンスでは、「文書化された食品安全スキームで、要求事項、規則、手続が具体的に定められている。」と定義している。

注2)「ベンチマーキング」:水準点のこと。また、(基準によって)評価する、という意味。ガイダンスでは、「或る食品安全スキーム及び食品安全に係るスキームをGFSI ガイダンス文書と比較し、同等性を確認するプロセス」と定義している。

2.GFSIによるベンチマーキング

GFSIによるガイダンス第6版に基づくベンチマーキングの状況を表1に示す。Dutch HACCPは第5版に基づくベンチマーキングは行われていたが、第6版については申請を出していない。Dutch HACCPのオーナーである食品安全認証財団の意向として、今後はFSSC22000の推進に注力する方針でとのことである。また、同じく第5版でベンチマーキングが行われていたSynergy 22000は、FSSC22000と協力することを決定したため、第6版によるベンチマークの申請をしなかった。

2014年12月現在、GFSIが承認しているスキームは10のスキームである。なお、GFSIのホームページではIFS Food StandardとIFS PACKSECUREが別のスキームとして示されており、これらをそれぞれ独立したスキームととらえると全体で10スキームとなる。その10のスキームのうち、一般食品加工製造を主に取り扱うスキームは、FSSC22000、IFS Food Standard、BRC、SQFである。

表2では、この4つのスキームの規則上の比較を行った。そのなかで、大きな相違点は、SQF、BRC、IFSといった小売系のGFSI承認スキームは、その認証認定規格 を製品・プロセス・サービス認証規格であるISO17065を採用しており、FSSC22000はマネジメントシステム認証規格であるISO17021を採用していることであろう。ISO17065認証認定規格のスキームによる利点について、IFSは、SQFとBRCの三者の見解として文書 を発行し、マネジメントシステムを対象とした審査・認証ではなく、製品とその製造の適合性に関する審査・認証を行うスキームであることを強調している。

表3では、上記4つの一般加工食品製造用のGFSI承認スキームにISO22000を加え、要求事項の傾向を表した。GFSI活動の初期段階から主要なGFSI承認スキームであったBRCとIFSは同様の要求事項を持つ傾向があるため、同枠で規定し、その他の規格を比較した。◎を付した要求事項は、規格に詳細な記述があるもの、また、○を付した要求事項は、規格に記述があるもの、空欄になっている要求事項は、規格に記述がないものを示している。ISO22000はPRPの詳細記述がないということが言われているが、ISO22000にPRP規格であるISO22002-1を追加したスキーム構成をもつFSSC22000では、PRP詳細記述もあり、かつ、検証活動が強化されたPlan+Do+Check+Actで継続的改善がなされるマネジメントシステムスキームである。一方、SQF、IFS、BRCも、システム要求事項があるため、マネジメントシステムの体系をもつものの、製品・プロセス認証規格ISO17065のもとで策定された規格として、一つ一つの要求事項のなかで、より明確な規定がなされている傾向にある。

ガイダンスについては、2016年には第7版が発行される予定である。GFSIガイダンス・ドキュメントは、頻繁な改訂が進められてきたが、その改訂の度に詳細の規定化が進んでいる。そのため、全てのGFSI承認スキームの規則および要求事項が均一化されていく傾向にある。今後、さらに均一化され、この認証認定規格の相違はその影響力を失っていくかどうか、今後の動向を注視する必要がある。

なお、ベンチマーキングされたスキームのうちFSSC22000の認証組織数の多い10カ国を表4に示す。

3.食品偽装

最近のGFSIにおける議論では「Food Fraud(食品偽装)」が主な議題の1つとして取り上げられている。本稿では、GFSIが食品偽装に注目した背景、対策、食品企業として必要な対応について述べる。

従来、GFSIは、食品安全に関するスキームのベンチマークを行うことにより食品安全に対する消費者の信頼を高めるため、食品安全マネジメントシステムの継続的な改善を推進してきた。しかし、これらは偶発的に起こる食品の安全・衛生上の事故の防止を図ることを目的としており、組織(又はその一部)が係わって発生する食品偽装を防止することは難しい。

食品偽装への取り組みは、GFSIの4つの大きな取り組みである、

  1. 第三者認証を通じた食品安全リスクの軽減
  2. ステークホルダーによる受入れの増大・強化
  3. GFSIによる取組みの採用の推進
  4. 食品安全に関する重要な事項の管理の調和

のうち④への対応として行われている。

GFSIが食品偽装に関心を持つようになったのは、メラミン危機(注:2008年の中国国内における牛乳へのメラミン混入)、馬肉スキャンダル(注:2013年に馬肉を牛肉と不正表示した加工食品などが欧州各地で見つかった問題)である。これらの問題では偽装行為が消費者、企業、業界、国に世界的な影響を及ぼし得ること、また、大きな広がりを持つサプライチェーンのもろさが明らかとなった。

こうした分析は2013年にGFSI内に招集されたFood Fraud Think Tank(食品偽装シンクタンクにより行われてきた。シンクタンクは、2013年3月に開催された世界食品安全会議において、食品偽装を防ぐためには食品安全や食品防御以外の様々な手段の組合せ、予見(例えば社会経済的な問題や犯罪学)が必要なこと、また、食品偽装に対するvulnerability(脆弱性)は企業の生産、加工、配送システムの範囲外でも起こりうることをを指摘し、食品偽装に関する要求事項を企業の食品安全マネジメントシステムの核心的な部分として取り込み、GFSI承認スキームの認証に含めるべきであると勧告した。

GFSIは2014年7月ポジションペーパー(見解書)を公表した。この見解書では、食品偽装への対応の重要性を明記し、企業及びスキームオーナーは、新たな取組への準備を進め、必要とされる知識及び技術について明らかにする必要があるとし、2016年に公表される予定であるGFSIガイダンス文書第7版に表5に示すkey elements(主な要素)を加えることが提案されている。

図1 ガイダンス・ドキュメントにおけるスキームの範囲
ガイダンス・ドキュメントにおけるスキームの範囲
表1 GFSIによるベンチマークを受けたスキーム
スキーム 内容 認証組織数
BRC Global Standard for Food Safety Issue 6
Global Standard for Packaging and Packaging Materials Issue 4
20,805(16,817)
3
CANADA GAP Scheme Version 6
Options B and C and Program Management Manual Version 3
約2,400(-)
FSSC 22000 October 2011 issue 8,549(6,049)
544
Global Aquaculture Alliance Seafood Processing Standard Issue 2 – August 2012 483(256)
0
GLOBAL GAP Integrated Farm Assurance scheme Version 4 and the Produce Safety Standard Version 4 123,115(-)
122
GRMS (Global Red Meat Standards) 4th Edition Version 4.1 23(23)
0
IFS (International Featured Standard) Food Standard Version 6
PACSECURE version 1
12,755(12,755)
0
Primus GFS v2.1 – December 2011 12,821(186)
0
SQF (Safe Quality Foods) Code 7th Edition Level 2
7th Edition Level 2 Scope Extension – FEED
5.301(3,589)
74

( )内は食品関係の認証数。

資料:農林水産省調べ(2014年6月)、認証組織数上段は世界、下段は日本

注:GFSIホームページではIFSは2件のスキームとして示されている。

表2 主要GFSI承認スキームの比較
  スキームオーナー 規格入手方法 認証認定規格 審査サイクル ロゴ使用 品質関連 審査結果の数値化
BRC

英・小売団体(BRC)

http://www.brcbookshop.com/brcbookshop/c/378/food-safety

有料、日本語版なし
ISO17065

1年(6ヶ月)

サイクル

サイト毎認証

名刺等ステーショナリやマーケティング書類に添付可

食品安全及び

品質を対象
Yes
IFS

独・小売団体(HDE)

http://www.ifs-certification.com/index.php/en/ifs-certified-companies-en/document-download/download-standards

無料、日本語版なし
ISO17065

1年サイクル

サイト毎認証

B to Bの販促材料としてはOK。

消費者へは不可。

同上 Yes
FSSC22000 蘭・食品安全認証財団 ISO22000
ISO22002-1
有料、日本語版あり
追加要求事項
無料、日本語版なし

ISO17021

ISO22003

3年サイクル

1,2年目サーベイランス審査
製品への使用不可。 食品安全のみを対象 No
SQF

米・小売団体(FMI/

SQFI)

http://www.sqfi.com/standards/sqf-code/downloads/

無料、日本語版あり
ISO17065

1年(6ヶ月)

サイクル

サイト毎認証

レベル3の場合、

製品にロゴ使用可。

レベル2 

食品安全のみを対象

レベル3 

食品安全及び

品質を対象
Yes
表3 GFSI承認スキーム比較(規格要求事項)
3段階評価(◎:記述深度が高い ○:記述あり 空欄:記述なし)
  ISO22000 * BRC/IFS ** FSSC22000 SQF
文書・記録
経営者の責任
コミュニケーション
顧客関連(苦情含む)
工程管理
購買  
製品設計  
製品の特性
内部監査
教育訓練
前提条件プログラム
HACCP
トレーサビリティ
不適合製品管理
測定機器管理
計量管理    
製品検査
分析ラボ管理  
内部工場監査      
データ分析
マネジメントシステム更新    
表示
異物混入防止
アレルギー関連
GMO    
食品防御  
回収・リコール

注1 ISO22000はGFSI承認スキームではない。

注2 BRCとIFSは本表で◎/○等が同一となるためまとめた。

表4 FSSC22000の認証組織数(主要国)
FSSC22000の認証組織数(FSSCHPから)
順位 国名 2013/8/14 2014/8/19 2014/12/10
1 米国 653 867 1002
2 中国 629 840 847
3 日本 507 769 821
4 インド 279 470 518
5 メキシコ 241 337 367
6 オランダ 239 372 389
7 ドイツ 209 282 312
8 フランス 175 264 271
9 ロシア 167 264 286
10 カナダ 165 209 234
全体   5858 8851 9576
表5 食品偽装に関して提案された主な要素
食品偽装脆弱性評価の要求事項 規格は、組織が潜在的な脆弱性を特定し、食品偽装脆弱性のコントロール手段を優先順位付けする文書化された適切な食品偽装脆弱性評価を有することを要求しなければならない。
食品偽装脆弱性コントロールプランの要求事項 規格は、組織が特定された食品偽装脆弱性に起因する公衆の健康上のリスクを最小化するために実施されるコントロール手段を特定する、文書化された適切なプランを有することを要求しなければならない。 このプランは、関連するGFSIの活動範囲をカバーしており、かつ、組織の食品安全マネジメントシステムにより支持されなければならない。

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